(Summary) The Paralympics Opening Ceremony’s story prompted some questions for me. The main character was played by a 13 year old girl, Yui Wago. She played a one-wing plane and in the end she conquered her fear and successfully flew with courage. If she was representing the paralympics athletes, I wondered why the athletes had to watch it. Who was the target audience? Who needs to be inspired by this dramatic spectacle? Many people said, “she was cute,” “I cried,” and “I was moved.” These messages are not what the athletes need to hear. In a world where people with physical disabilities and intellectual impairments face prejudice and discrimination, I think that the storyline needs to include an adult who breaks the stereotype of people with disabilities, in addition to a cute young child in a wheelchair. The Paralympic Athletes are role models for all of us. They do not have to be reminded to have courage. Courage is what got them there.
パラリンピックの開会式が無事に終わりました。
パラリンピックのストーリーの主役は、機能障害を持つ13歳の和合由依さん。NBCが、和合さんが姿を表すと、”We are about to meet the main character! Here she is — a little one-wing plane!” と解説。”Her movement is spectacular!” と絶賛していました。
和合さんは、少女が一つの翼を持つ小さな飛行機で、勇気を持って飛ぼうとするストーリーの主人公を立派に演じました。今年のパラリンピックの選手の最年少は14歳なので、和合さんはさらに一つ年下の最年少参加者ということになります。
NHKの解説者は心がこもった解説をしました。少女が滑走路を車椅子で走っていくラーストシーンも、「今、飛び立ちました!」と心を躍らせて、視聴者を吸い込むような解説をしていたのが印象的でした。
和合さんの演技や布袋さん、そして私が尊敬する大前さんの素晴らしいパーフォーマンスに見とれながら、ちょっと気になってしまった点を一つだけ書き留めまておきますね。
この演出は、結局、誰をインスパイアするために作られたものだったのでしょうか。目的と対象相手が、今ひとつ、私にはハッキリしませんでした。
このストーリーは、勇気の大切さを語ったものですが、パラリンピックの出場選手たちは、すでに勇気を出して飛び立った人たちです。最後に飛び立った少女が、今、東京オリンピックに出場した(している)彼ら自身です。
彼らは、勇気を持って、すでに東京に飛び降りました。
だから、このストーリーは、あのパーフォーマンスを目の前で見ているパラリンピックの選手をインスパイアするためのものではなくて、むしろ、テレビの向こうで見ている人をインスパイアすることを意識して作ったのではないかと思いました。
SNSで、「涙が出た」「感動した」という声が交わされていますが、そういう気持ちを見聞きすると、私自身は複雑な気持ちになってしまいます。。。機能障害のダンサーたちもパラリンピックに出場する選手たちも、そのような同情心は、望んではいなかったと思うのですが。。。。
おまけに、「和合さんがかわいい」というコメントも見ます。もちろん、かわいいですが、これもちょっと微妙なコメントですね。「日本人は可愛い」と言うステレオタイプはとてもよく知られていますが、それが世界中にますます広がらないようにと、願うばかりです。
ただでさえ、アメリカでは、「アジア系はサイズも顔も子供っぽい」と思われ、社会や職場で差別されていますから。アメリカの実社会では、「かわいい」は、褒め言葉になっていません。
リオのパラリィンピックを思い出しました。リオでは、両足義足のアメリカのモデルでパラ・スノーボーダーのエイミー・パーディが、ダンサーとして招かれ、ロボットとサンバを踊りました。ロボットと踊る、美女パーディ。映画「美女と野獣」を思い出させるワンシーンがありました。
身体が不自由な人は弱い人間だと見られがちな偏見に満ちた世界を、美女パーディが、体からにじみ出る、セクシーで優しく、ユーモアがあって力強いダンスで、観客を圧倒しました。
オリンピックとパラリンピックは、日本の祭典ではなく、世界の祭典です。
そして、日本がアジアを代表したイベントでもあります。
偏見と差別に満ちた世界を生き抜く、パラリンピックの勇者たちや世界中の障害を抱えた人々を応援するために、「肩翼の小さな飛行機」の主役は、少女と、誰かもう一人、格好良く力強い、障害者の大人の主役が必要だったのではないでしょうか。
少女だけでは、リビングルームの親子の会話止まり。
世界中の社会が持つ、障害者のステレオタイプを打ち破るためのストーリーラインが必要でした。