ダイバーシティ作りのポイント3点:オリンピック・パラリンピック開会式と閉会式を振り返って 3 Key Ways your organization can effectively create diverse events

(Summary) I wrote a blog for Japanese readers, but parts of it are relevant to non-Japanese people. I am a Japanese living for decades in the US with many years of experience in teaching multiculturalism. During the Olympic and Paralympic openings and closings, I noticed some important cultural facets that Japanese in Japan need to be more aware of. I picked three key points to help future Japanese organizers and company employees build diversity in a more culturally competent way. 1) Use a social change approach -The Japanese producers created a Disneyland-like Diver-sity (city) with colorful buildings and lively dances, but the French preview of the 2024 paralympics consciously identified the issue of stereotyping disabled professionals, and successfully depicted a paralyzed composer making music on the computer using only his eyes while the dancers in wheelchairs performed in unison. 2) Avoid cultural appropriation – A Japanese singer imitated Louis Armstrong singing “What a Wonderful World.” Be careful not to copy singers inappropriately. Japanese people are unfamiliar with the concept of cultural appropriation. 3) Build a linguistic identity – Be more confident in using Japanese in global communications. Japanese is one of the most spoken languages in the world, but Japanese performers in the ceremonies mostly sang in English. No contemporary popular Japanese singers appeared. There were no Japanese  translations of the Olympic/Paralympic mission statement, which was  written in English. Become cosmopolitan!

Miraitowa and Someity: “Mirai” means “future,” and “towa” means “eternity.” Someity comes from the Japanese cherry blossom, “Someiyoshino.” Someity also sounds like “so mighty.” They finally appeared in the Paralympics Closing Ceremony.

長年アメリカに住んで多様文化について教えていると、日本人が気づかないダイバーシティの問題に、容易に気づいてしまいます。

開会式と閉会式の演出からはいろいろな発見があったので、ここでシェアします。

もしあなたの職場がダイバーシティを目指したり、あるいはダイバーシティのプログラムやイベントを開催するならお役立てください。

開会式と閉会式に見られた具体例にふれながら、ダイバーシティ作りのポイントを、グローバルの観点に立って、大まかに3点まとめてみました。

  1. ソーシャルチェンジ・アプローチを目指して
  2. Cultural Appropriation (文化の盗用)に注意
  3. 言語アイデンティティを大切に

ソーシャルチェンジ・アプローチを目指して

パラリンピックの閉会式では、子供達が大喜びするようなディズニーランドを思わせるダイバーシティが、広間に出来上がりました。カラフルな建物が並んで、おとぎの国のようでした。スカイツリーも、シールでぺったんこ。周りはお祭り騒ぎで、楽しそうでした。

問題意識は見られませんでしたが、みんなが寄り添う多様性と調和のドリームランドを表現しました。

この反対が、2024年開催国パリからのビデオ映像。全身不随のコンポーザーが、目でコンピューターに指示をして曲を作り、それに合わせて、車椅子のダンサーがロボティックにそろって踊る。圧巻でした。

身体にハンディを抱えた人たちへのステレオタイプが消えない21世紀。テクノロジーが私たちのイメージを変える21世紀。問題を意識して、ソーシャルチェンジを目指す、格好いい力強いビデオでした。

どちらのアプローチを取るかは、あなたの目的次第。ただ、ソーシャルチェンジを考慮すると、衝撃的で格好良く、クリアなメッセージが伝わるのは間違いなさそうです。

Cultural Appropriation (文化の盗用)に注意

パラリンピック閉会式では、なんと、ルイ・アームストロングの​​​​「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」を​​奥野敦士​​さんが、まるでアームストロングのような声で歌いました。

日本では、感動したという声が多いようですが、アメリカでは、人真似、特にアフリカ系アメリカ人の歌声や弾き語りを真似することは奨励されていません。

特に、このような大切な公共の場でのモノマネはCulturally inappropriate (文化的に不適当)だ言われています。

ジョン・レノンの歌でさえ、ジョン・レジェンドもキース・アーバンも、自分たちのイマジンを歌っていました。

日本人には不慣れな発想かもしれませんが、実は、NHKのど自慢も、外国と同様に、文化の盗用を好きではないようです。モノマネが上手な人は、普通は、鐘が二つどまりです。

モノマネと言っても、コメディアン清水ミチコさんのモノマネは、どんどんやってほしいです。清水さんのモノマネは、超ウケます。

言語アイデンティティを大切に

言語は、私たちのアイデンティティです。日本は、日本語が、マザータング、母国語です。

戦後の日本みたいに英語の歌ばかりでは、寂しい限りでした。世界の場で、日本のポピュラーソングを歌わないで、「イマジン」と「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」だけでは、もったいないと思いました。と言って、聞いたこともない、宮沢賢治の詩を歌うのは、行き過ぎでは。。。

過去のオリンピックでは、他の国々は、自分たちのポップカルチャーを世界にアピールして、聴衆をまとめあげました。

2012年ロンドンオリンピックでは、解散したスパイスガールが、オリンピックのために再登場して、昔のヒットソングを歌いました。2016年リオのオリンピックでは、ダニエル・ジョビンがポルトガル語でイパネマの娘を歌い、スーパーモデルのジゼル・ブンチェンがセクシーに登場。

2018年の冬の平壌オリンピックでは、BTSやK−ポップのスターたちが踊り、韓国語と英語で歌いまくっていました。選手団もみんな立ちっぱなしでした。

アメリカのトゥナイトショーで、BTSが登場して、韓国語で歌い、世界にもっと韓国語を広めたいとも言っていたのを思い出します。韓国語に自信を持って歌うBTS。アメリカでは、あのカリスマ性が人気の秘訣かもしれませんね。

どうして、LiSAさんが、「鬼滅の刃」の主題歌「紅蓮華」を歌わなかったのか。

どうして、嵐は、解散したスパイスガールがロンドンオリンピックに駆けつけてきた時のように、せめて、米津玄師さん作詞作曲のオリンピックソング「カイト」だけでも、世界から集まった選手たちの前で歌わなかったのか。

NHKのオリンピックハイライトで、いつも「カイト」が流れていましたが、嵐の櫻井くんも相葉くんもスポーツ解説だけで、とうとう最後まで、ライブで歌ってくれませんでした。

日本語が極力避けられていたセレモニー。一体どうして?

ポピュラーな日本のポップシンガーが登場しないオリンピックでした。

開会式と閉会式の共通コンセプトも、英語だけで、日本語に訳してないと聞いてます。

アメリカ占領下の日本みたいで、時代遅れのアイデアですね。

日本は世界に羽ばたくチャンスが、これからもいっぱいあります。
日本語を堂々と世界に広めていって欲しいと願うばかりです。
NHK外国人のど自慢で見るように、日本語で歌いたい外国人が、世界中にたくさんいることを忘れないでください。

Paralympics Games: NBC and NHK Coverage・Afghan Olympic Spirit・From 9th to 2nd・Iran-Iraq War・Resilience・Had Fun・Best Collaboration

(Summary) I watched coverage of the Tokyo Paralympics on both NHK and NBC. They were culturally different. While NBC said, “She didn’t give up!”, NHK said, “I learned from her how important not giving up is!” NHK explained more about the disabilities issues and challenges that athletes face. They also used graphics and illustrations to show how the disability levels are arranged to compose teamsI selected six moments that moved me An Afghan athlete arrived late — two days after the opening — because of the difficulty of trying to leave Afghanistan during the Taliban takeoverIn the triathlon a Japanese athlete surged from 9th place to 2nd place to win the silver medalA Brazilian swimmer said that he chose to be an Olympian swimmer to be a model for young Brazilians with disabilities, who otherwise tend to become beggars or gang membersA young Japanese athlete was happy even though he finished last, because he said he heard his friends cheer and call his name while he was running — “Takeru! Takeru!” The team of blind athletes and guides had the best collaboration model to make their dreams come true・I think that Paralympics should be integrated into the Olympics. Collaboration is the best model for everybody to learn from each other and grow.

残すはあと一日。NHKとNBCのスクリーンをテレビ画面に広げて、時々ライブ同時で見ながら、本当にいろいろなことを楽しんで学ばせてもらいました。あっという間の2週間でした。ストリーミングのおかげで、テレビをあっちこっち見すぎなくらい、よく見ました。

見すぎたおかげで、ホスト側とビジター側との違いか、あるいはお互いの文化の違いからか、NHKとNBCは解説のアプローチに違いがあることに気づきました。例えば、NBCが、”She didn’t give up!” といえば、NHKが、「あきらめないことの大切を学ばせてくれました」といった、感情の入れ方の違いです。

また、NHKは、障害者レベルやゲームのルールなどを説明してくれました。バスケやラグビーなどの団体競技は、障害者レベルのチーム構成ルールをグラフィックで示してくれるなど、工夫されてましたが、NBCは、勝手に自分でグーグルしなさいということでしょうか、あのようなグラフィックの説明はありませんでした。

NHKでは、選手たちが戦争、事故、病気や生まれつきの理由で障害者となったいきさつを淡々と説明したり、種目の解説者も選手のフィジカル・チャレンジを説明するなど、プロとしての解説のレベルが印象的でした。

私が感動した場面をここで6点ほどまとめておきます。

1。アフガン・オリンピック・スピリット:突然のアメリカ軍撤退、そして武装タリバン勢力占領の最中、二日遅れで日本にたどり着いて出場したアフガニスタンの選手、フセイン・ラセリ選手に、心が打たれました。自分の陸上競技種目の予選は終わっていて、そのかわりに走り幅跳びに参加。結果は自分の思い通りではなかったけど、跳び終わった時のスマイルはホッとしているかのようでした。

2。9位から2位:トライアスロンでは、スイムで9位だった宇田選手が、サイクリングからランニングへと2位になった時、それに気づいたNHKの解説者が、「えっ、宇田が、2位ですよ!」とエクサイトした声を張り上げたのを忘れられません。私の胸が熱くなりました。

3。イラン戦争:イラン戦争で、障害者が増え、イランでは、シティング・バレーボールが人気スポーツ。シティング・バレーボール人口は5000人に及ぶとか。

4。レジリアンス:ブラジルでは、障害者は、物乞いかギャングになりがち。ブラジルの水泳選手が、私は、そういうステレオタイプを破るために、水泳選手になったと言っていました。

5。楽しかった:陸上の松本武尊くん。100メートル走り終わった時のインタビューが忘れられない。「どうでしてたか」とNHK。最下位だったにもかかわらず、ニコニコ。恥ずかしそうな笑みを浮かべながら、「楽しかったです。ちょっと、知ってる人がいて。。。。」と言って、スタジアムの応援席をニヤニヤとしながらちらっと見た。「たける、たけるという声が聞こえて、嬉しかった。」NHKレポーターが、すかさず「また、たけるという声が聞こえるように、また走りますか。」と聞くと、武尊くんは言った。「はい、また走ります!」もう、目頭がじわっときました。

6。ベスト・コラボレーション:目が不自由な選手につきそうガイド。これこそ、真のコラボレーション。食事をしたりして、お互いを知る機会を作ったりすると言っていました。ガイドは、周りを常に見て、転ばないように気をつけること。ゴールに入る時、気がついたんんですが、両方が同時にゴールインするというより、どちらかがひっばってゴールしてました。ゴール前は誰でも必死。ガイドが先に入る、選手が先に入る。でも、誰も転ばない。すごいチームワークでした。

スポーツに情熱とエネルギーを燃やすパラリンピック。選手も聴衆も、お互いに学び合うために、オリンピックといつかコラボする日を楽しみにしています。

Paralympics Opening Ceremony: パラリンピック開会式:Who Is It For? What Is It For?「肩翼の小さな飛行機」を振り返って

(Summary) The Paralympics Opening Ceremony’s story prompted some questions for me. The main character was played by a 13 year old girl, Yui Wago. She played a one-wing plane and in the end she conquered her fear and successfully flew with courage. If she was representing the paralympics athletes, I wondered why the athletes had to watch it. Who was the target audience? Who needs to be inspired by this dramatic spectacle? Many people said, “she was cute,” “I cried,” and “I was moved.” These messages are not what the athletes need to hear. In a world where people with physical disabilities and intellectual impairments face prejudice and discrimination, I think that the storyline needs to include an adult who breaks the stereotype of people with disabilities, in addition to a cute young child in a wheelchair. The Paralympic Athletes are role models for all of us. They do not have to be reminded to have courage. Courage is what got them there.

パラリンピックの開会式が無事に終わりました。

パラリンピックのストーリーの主役は、機能障害を持つ13歳の和合由依さん。NBCが、和合さんが姿を表すと、”We are about to meet the main character! Here she is — a little one-wing plane!” と解説。”Her movement is spectacular!” と絶賛していました。

Yui Wago, left, gestures during her performance as a one-winged airplane in the Tokyo Paralympic Games opening ceremony at the Japan National Stadium in Tokyo’s Shinjuku Ward on Aug. 24, 2021. (Mainichi/Noriko Tokuno)

和合さんは、少女が一つの翼を持つ小さな飛行機で、勇気を持って飛ぼうとするストーリーの主人公を立派に演じました。今年のパラリンピックの選手の最年少は14歳なので、和合さんはさらに一つ年下の最年少参加者ということになります。

NHKの解説者は心がこもった解説をしました。少女が滑走路を車椅子で走っていくラーストシーンも、「今、飛び立ちました!」と心を躍らせて、視聴者を吸い込むような解説をしていたのが印象的でした。

和合さんの演技や布袋さん、そして私が尊敬する大前さんの素晴らしいパーフォーマンスに見とれながら、ちょっと気になってしまった点を一つだけ書き留めまておきますね。

この演出は、結局、誰をインスパイアするために作られたものだったのでしょうか。目的と対象相手が、今ひとつ、私にはハッキリしませんでした。

このストーリーは、勇気の大切さを語ったものですが、パラリンピックの出場選手たちは、すでに勇気を出して飛び立った人たちです。最後に飛び立った少女が、今、東京オリンピックに出場した(している)彼ら自身です。

彼らは、勇気を持って、すでに東京に飛び降りました。

だから、このストーリーは、あのパーフォーマンスを目の前で見ているパラリンピックの選手をインスパイアするためのものではなくて、むしろ、テレビの向こうで見ている人をインスパイアすることを意識して作ったのではないかと思いました。

SNSで、「涙が出た」「感動した」という声が交わされていますが、そういう気持ちを見聞きすると、私自身は複雑な気持ちになってしまいます。。。機能障害のダンサーたちもパラリンピックに出場する選手たちも、そのような同情心は、望んではいなかったと思うのですが。。。。

おまけに、「和合さんがかわいい」というコメントも見ます。もちろん、かわいいですが、これもちょっと微妙なコメントですね。「日本人は可愛い」と言うステレオタイプはとてもよく知られていますが、それが世界中にますます広がらないようにと、願うばかりです。

ただでさえ、アメリカでは、「アジア系はサイズも顔も子供っぽい」と思われ、社会や職場で差別されていますから。アメリカの実社会では、「かわいい」は、褒め言葉になっていません。

リオのパラリィンピックを思い出しました。リオでは、両足義足のアメリカのモデルでパラ・スノーボーダーのエイミー・パーディが、ダンサーとして招かれ、ロボットとサンバを踊りました。ロボットと踊る、美女パーディ。映画「美女と野獣」を思い出させるワンシーンがありました。

U.S. Paralympic snowboarder Amy Purdy is seen dancing with a robot during the opening ceremony of the 2016 Paralympics at Maracana Stadium in Rio de Janeiro on Sept. 7, 2016. (Mainichi)

身体が不自由な人は弱い人間だと見られがちな偏見に満ちた世界を、美女パーディが、体からにじみ出る、セクシーで優しく、ユーモアがあって力強いダンスで、観客を圧倒しました。

オリンピックとパラリンピックは、日本の祭典ではなく、世界の祭典です。

そして、日本がアジアを代表したイベントでもあります。

偏見と差別に満ちた世界を生き抜く、パラリンピックの勇者たちや世界中の障害を抱えた人々を応援するために、「肩翼の小さな飛行機」の主役は、少女と、誰かもう一人、格好良く力強い、障害者の大人の主役が必要だったのではないでしょうか。

少女だけでは、リビングルームの親子の会話止まり。

世界中の社会が持つ、障害者のステレオタイプを打ち破るためのストーリーラインが必要でした。